香白圭について

香白圭として工房を始めるまでに額縁の製造に20年ほど携わって来ました。

 

以前の私は、この仕事を重ね続けてきた経験から自らの技術に強い自負を持つようになり、気づけば物作りに謙虚さが無く、傲慢な物作りをしていました。

 

それから後に自己が作品に現れることに気づき、作品に向き合う気持ちの在り方も考えていた頃に、陶芸家の方から制作の話を伺う機会がありました。 

 

それは自然素材に正面から向き合い、制作の一端を自然にゆだね受け入れて、歴史を紡ぎながら試行錯誤されている姿でした。

 

その話を聞いた時、考え続けてきた答に触れたように感じ影響を受け、それからは自然素材を使った制作に傾倒してゆきました。

 

それまで自負のあった制作は思うように進まなくなりましたが、少しづつ試作を重ねて続けて今に至ります。 

 

いま制作に思うことは、素材と向き合い、尊重し、己の意を消し、あるがままを大切に研鑽を重ねることだと思っています。

 

そして自分の琴線に触れるもの作りを素直に続けてゆくことで、作品が自ずと語るものだと信じています。

 

いつかそのような枠縁が、誰かのお気に入りとして使っていただける事を望みながら制作に取り組んでいます。     

                                

 


香白圭が想うこと

 

 私が枠を作るときに目指しているのは、作品の世界観を損なわないものを作ることです。

 

 作品本来の世界観を損なうことなく、見る人に伝えることは非常に難しいことです。

 

 アーティストの表現方法は多彩です。それに応えるためには、小さなことにも妥協しないこと。それが作品への敬意だと思います。

 

そんな思いから、穏やかなこの場所で作品と向き合い丁寧に作りたいと望み、ここに至っています。

 

 

What KAHAKUKEI thinks

 

My aim when creating frames is to create something that does not detract from the worldview of the piece.

 

It is very difficult to convey the original worldview of a work to the viewer without compromising it.

 

Artists have a wide variety of ways of expressing themselves. In order to respond to that, we must not compromise on even the smallest details. I believe that this is the way to show respect for the work.

 

Therefore, I wanted to face my work carefully in this peaceful place, and that is how I arrived here.

 

 


 

 

2023年、山口県萩市三見に居を移し工房を構えました。

 

移り住んで未だ自然の移ろいに感じ入る余裕もなく、自然から恐れと尊さと学びをぐるぐると受けながら創作活動に励んでいます。 

ここは七十二候のながれそのままの穏やかなところです。 

                                                        香白圭 

 

 

In 2023, I moved to Sanmi, Hagi City, Yamaguchi Prefecture and set up a workshop.

Since moving here, I have not yet had the time to feel and accept nature, so I work hard to create while receiving fear, respect, and learning from nature.

This is a calm place that follows the flow of the Seventy-Two Seasons.

 

Kahakukei